多摩市立複合文化施設のパルテノン多摩で今日9月11日、「バックステージツアー2010 ダビンチックな午後」が開催された。10月16日・17日に多摩中央公園きらめきの池水上特設ステージで実験的幻想音楽劇『阿呆船』(作:寺山修司、演出・音楽・美術:J・A・シィザー)を上演する演劇実験室◎万有引力が、パルテノンのスタッフと協力して実施した。
体験ツアー参加者40名は、舞台制作の基本的な作業を体験し、舞台裏も見学。観覧ツアーの参加者も、照明や幕といった舞台装置の説明を聞き、後半は万有引力メンバーのパフォーマンスと体験ツアー参加者やスタッフが舞台や客席で交錯する不思議な空間を楽しんだ。ステージの模様をフォトレポート形式でお届けする。
舞台床昇降(迫り)装置で登場した体験ツアー参加者たち。勇壮な『スター・ウォーズ』のテーマが気分を盛り上げる。
照明バトンに吊されたライトにカラーフィルターを付ける作業を体験する子供たち。
舞台制作の作業をモチーフにした、演劇実験室◎万有引力メンバーのパフォーマンス。
進行役を務める監修の安田雄二氏からパフォーマンスの最中にインタビューされ、即興の演技について語る俳優。
さらにパフォーマンスが続くなか、舞台袖から出てきた体験ツアー参加者たちが客席へと降りていく。演技の「非日常」と一般参加者の「日常」が地続きになった空間が面白い。
『2001年宇宙の旅』の冒頭で有名な『ツァラトゥストラはかく語りき』(リヒャルト・シュトラウス作曲)が鳴り響く中、4枚の巨大な音響反射板が厳かに動き、神殿のように壮麗な空間を作り出す。
最後に、降下したオーケストラピットから退場する体験ツアー参加者たち。観覧ツアーの子供たちがうらやましそうに眺める。
企画に協力したJ・A・シィザー氏。「僕自身、舞台にどんどんお客を上げて、舞台の上から世界を見てもらうというやり方が好きだということもあり、今回は共同で企画しようという話になりました」
「演劇の空間では日常と違う時間が流れています。それを体験してもらって、劇場を出て自宅に帰ったときにもどれだけ非日常の感覚を持ち続けてもらうか。劇場の非日常と自宅の日常が通底するという意識を僕らは強く持っているし、演劇にはそうした作用が確かにあると思います」
[関連リンク]
阿呆船 ―理性とは二流の狂気である―(パルテノン多摩 公式サイト)