9月29日土曜日、多摩市豊ヶ丘の那須高原海城高校にて東日本大震災で被災した生徒たちへの進路相談会が行われた。貝取中学と豊ヶ丘中学の統合により貝取中学のあった地に新しく青陵中学が誕生したのは平成20年4月。その後利用されていなかった旧豊ヶ丘中学跡地を、被災によって栃木県の校舎が使えなくなった那須高原海城中学・高校(以下、那須海城)が平成23年6月より利用している。
進路説明会を開催したのは、全国の学生と社会人からなる政策立案を主とする特定活動非営利法人MPI(Management and Policy Institute)。当日多摩市に集ったのはMPIのなかでも福島市やいわき市の仮設住宅で、生徒たちの学習支援を行ってきた「GTO(頑張ろう!東北オペレーション)」というチーム。
那須海城は全国でもめずらしい全寮制。栃木県から多摩への引越しに伴い、生徒たちの間に生活環境の変化や将来への不安があったことは想像に難くない。そんな気持ちを解きほぐし大学生活への展望を持ってもらおうと、東京大や学芸大、早大や関東学院大などの学生9名が大学生活や受験のアドバイスに弁を振るった。
参加した学生の一人、学習院大1年の高橋優介さん(19歳、写真左端)は、「話すに当たっては高校生が求めているであろう情報を考え、そのなかで自分がより精通しているサークル活動という分野を選択しました」という。ユニークな大学プレゼンテーションが続いたこともあり、各ブースには高校生の熱気が充満したが、約2時間の進路説明会を経て高橋さんが一番印象に残ったことは、生徒たちのたくましさだったと語る。「驚いたのは彼らには被災者であるという意識があまり見られなく、突然東京に移動を余儀なくされたのに不満な様子が感じられなかったことです。それどころかむしろ高校生であったときの自分よりはるかに未来に明確な目的をもってたくましく生きていました。思っていた以上に私達の話も真剣に聞いてくれたのも印象的でした」と目を見張った。
多摩市内には地震直後、130名を越す被災者が避難してきたことをご存知だろうか。新しい住まいを見つけて故郷へと戻れた家族も多いが、いまだに少なくないご家族が多摩市内に住んでいる。被災地へのボランティアはちょっと大変、というかたもこのような身近な支援活動に携わることで新しい多摩の絆が生まれていくのかもしれない。
【関係リンク】
特定活動非営利法人MPI
那須高原海城学園