今年の映画賞授賞式を締めくくる2本目の最優秀作品賞は、北海道・芦別で大勢の市民ボランティアに支えられてロケを行った『野のなななのか』の大林宣彦監督(左写真)およびスタッフ・キャスト一同が選ばれた。セレモニーでは大林監督のほか、出演した常盤貴子さん、村田雄浩さん、寺島咲さん、芦別映画製作委員長の宗方裕之さんも登壇した。
大林監督は、作品の成り立ちとテーマについて、「私たちは(太平洋戦争の)敗戦のことを何も知らないまま平和の中で生きている。星のふるさと芦別映画学校の校長を務めた縁で、芦別の人たちに支えられながら作った本作は、忘れてはいけない、あの戦争のこと、過去のことすべてを未来に生きる若い人たちに言い遺す、芦別に生きる人の遺書のような映画になった」と語った。
また、この日の会場に芦別からたくさん市民が来てくれていると紹介したうえで、「そういう市民映画が、市民の皆さんに支えられたこの多摩映画祭で最優秀賞をいただいた。里と里とが結びつくということを、私は本当に嬉しく思う」と、映画を支える芦別と多摩のボランティアたちをねぎらった。
村田雄浩さん(右上写真)も、「朝昼晩のごはんから、空港の送り迎え、最後には出演もしていただいて、大勢の芦別のみなさんに支えられた。芦別という土地がこの映画を作ってくれたという感じがする。本当に感謝しています」と礼を述べた。
2004年の大林監督作品『理由』でデビューした寺島咲さん(左写真)は、「大林監督は私が映画の世界に入るきっかけを作ってくれた。またその監督の映画に出て、こうしてみなさんと一緒にこの場所に立っていられることが本当に嬉しいです」と喜びを語った。
常盤貴子さんは、「私は初めてキネマ旬報の取材を受けたときに、『一緒に仕事をしたい監督は』と聞かれて大林監督の名前を挙げさせていただいた。それから20年後、大河ドラマの仕事で長岡に行った際、『この空の花 ―長岡花火物語』の撮影で長岡に来ていた監督に初めてお会いできた時に、『(キネ旬の)記事を読んだよ。いつか一緒にやろうね』と言ってくださった。そして次の年、早速願いがかなった。今ここに立っていられることが夢のようです」と、笑顔で語っていた。
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