多摩市役所で2月5日、多摩市、一般社団法人多摩循環型エネルギー協会(多摩エネ協)、多摩電力合同会社の3者が、「市有施設の屋根貸しによる太陽光発電設備設置事業」にかかる基本協定の調印式を行った。(写真:左から多摩エネ協の桃井代表理事、阿部市長、多摩電力の山川代表社員)
多摩エネ協が環境省から委託された「地域主導型再生可能エネルギー事業化検討業務」の枠組みを通じ、多摩市環境部職員や専門家、識者などが検討してきた「市民主体の事業者が地域の建物の屋根を借り、市民出資でソーラーパネルを設置して全量売電する」モデルを実証に移すもので、協定の概要については市が1月の記者会見で発表していた。
阿部裕行市長は、「来月で再び3.11を迎え、東日本大震災から3年目。今までの国のエネルギー政策に対して、(3.11後は)地域の市民や自治体が再生可能エネルギーの枠組みをどうつくっていくのかという挑戦の歴史だった。今回3者で提携したことで、きちんと実証ができる段階に踏み出すことになる。多摩市民の皆さんと、どうしたら地域の中でエネルギーの地産池消を進めることができるのか。私も大いに期待している」と述べた。
多摩エネ協の桃井和馬代表理事は、「3.11をきっかけに集まった市民が考えるなかで、自分たちの住む街に市民発電所をつくりたいという目標が生まれた。この街でモデルとなる事業を作り、再生可能エネルギー使った都市型の発電所を成功させる。日本各地にあるニュータウンをはじめ、全国に広めていきたい」と抱負を語った。
多摩電力の山川陽一代表社員は、「多摩市からは絶大なるご理解とご協力を頂き、公共施設11物件を私たちの手で工事させてもらうことになった。私たちにとって、今日はゴールではなく本番のスタート台。これを足場に市と一致協力して、市全域さらに近隣地域への再生可能エネルギーの普及拡大に努めたい」と気持ちを引き締めていた。
今回協定が結ばれた公共施設11物件は、合計で600kW程度の発電容量となる。現在、多摩電力の市民発電所2施設(恵泉女学園大学、ゆいま〜る聖ヶ丘)や、今後予定されている発電所を合わせると合計約800kWとなり、30アンペア契約の世帯に換算すると約300世帯の電力を賄うことができるという。
(文と写真:江刺莉沙 編集:高森郁哉)
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