多摩ニュータウンという街は、いつだって未来の匂いをひそやかに漂わせている。
静かな住宅地でありながら、どこか実験室のような空気が満ちており、歩くたびに新しい試みが息づいているのを感じる。
この丘陵地帯に、またひとつ不思議な社会実験がはじまった。
名を「滞在環境社会実験」という。
目的は、空間の快適さやにぎわいをどう生み出すかを確かめること。
だだっ広い広場でもなく、華やかな商業地でもない。
ただ、暮らしの途中にひっそりと広がるスペース――その場所に、どんな風が吹き、どんな人が集まるのか。
多摩ニュータウンは、そんな細やかな問いかけに真面目に応える街である。
周囲を見渡せば、ベンチが点々と置かれ、少し歩けば多摩中央公園の緑が広がっている。
行き交う人の流れに、どこか落ち着いた余白がある場所。
そこに実験のための空間が設けられ、人々が座り、佇み、語らい、ただ風に吹かれる。
その一つひとつが、この街の未来を形づくる試料となるのだ。
果たして、このスペースから何が生まれるのか。
静寂の中に生まれたざわめきか、思いがけない交流か、それとも新しい風景そのものか。
結果がどう転ぶのかはまだわからない。
だが、こうした小さな試みを積み重ねていく姿勢こそ、この街が「実験都市」と呼ばれるゆえんであり、多摩ニュータウンの魅力である。
気づけば歩みは自然とその場所へ向かってしまう。
未来の種が撒かれたその空間を、この目で確かめたくなる。
●社会実験について
空間の快適さやにぎわいを創出するための社会実験として、パルテノン大通り
にある植栽ますにウッドデッキやベンチ、木製座面を設置しております。期間無いはどなたでも自由得にご利用頂けますので、ぜひご利用ください！(案内版から)
(多摩市公式HPから)
