9月27日、多摩市諏訪2丁目の諏訪2丁目住宅の解体工事が始まった。同住宅は多摩ニュータウン開発のさきがけとして、1971年に入居が始まり40年が経過。昨年3月に全面建て替えが決定され、大規模集合住宅の建て替えモデル事業として注目されている。[写真撮影:渡辺生人]
解体工事にはテレビ、新聞などの報道陣が50名ほど集まり、解体の様子をレポートするなど社会的関心の高さがうかがえた。解体工事は午後1時から、放水とともに重機による2-2-5の建物から開始。全23棟の解体は11月いっぱいにめどが立ち、12月からマンション建設が順次着工される。完成、引渡しは2013年11月の予定となっている。
本事業は東京建物株式会社が事業主体となり、新しい住宅は「Brillia多摩ニュータウン」と命名された。旧住宅640戸が1249戸のマンションとして甦ることになる。来年1月にはモデルルームを開設、3月より分譲を開始する予定。分譲価格は70平米台で3000万円代半ばから、90平米台で4000万円半ばくらいの設定になりそうだ。東京建物では9月17日より当マンションの資料請求受付を開始。出足は好調のようで、想定を上回る問い合わせがきているとのこと。内陸部、丘の上の立地ということもあり、多摩地区だけでなく都内からの問い合わせも多いという。
新しいマンションは保育園、高齢者支援施設、クリニックも設置され、住民だけでなく、近隣の人々も利用できる。共用部や専用部などにLED照明を採用、太陽光発電も導入され、省エネや緑化、地震への備えも充実している。コンビニエンスストアやコミュニティカフェ、ドッグランも設置され、コミュニケーションを活発にする仕組みも考えられている。そのほかカーシェアリングも導入され、利便性の高いマンションとなりそうだ。
取材を受けた建替組合理事長の加藤輝雄氏(左写真)は、「住民の自助、多摩市、東京都、URなど行政や事業者の協力で、不可能と思われた建て替えをここまで推進できた」と話す。特に住民の愛着心、結束力、コミュニケーションの強さが原動力となったという。「640戸のうち604戸の住民が戻ってくる。安心して住み続けられる街づくりを目指したい。建て替え決議に至る過程や決議後の苦労に思いをはせ、この経験を社会に還元していきたい」と、加藤氏は感慨をこめて語った。