多摩市立図書館本館(落合2-29)子ども図書室に4月23日、児童文学者、翻訳家の渡辺茂男さん(2006年没)と、長男で作家・翻訳家の渡辺鉄太さんの著書などを紹介するコーナー「へなそうるのへや〜メルボルンこども文庫からのおくりもの」が開設された。渡辺茂男さんは1965年から多摩市桜ヶ丘に家族と暮らし、多数の児童文学を執筆したほか、『おさるのジョージ』『エルマーのぼうけん』など欧米児童書の翻訳も手がけた。
茂男さんの死去後、著作の管理や復刊も関わっている鉄太さんが、桜ヶ丘の自宅を処分するに当たって著書などを多摩市の子どもたちのために活用してほしいと同図書館に申し出て、205冊を寄贈した。図書館はこれに加えて、茂男さんと鉄太さんの著書・訳書の蔵書200冊強を子ども図書室の一画に集め、仕事場を再現するタイプライターと机とイス、写真や書簡なども合わせたコーナーを新設した。
「へなそうる」は、茂男さんが書いた『もりのへなそうる』(福音館書店)に登場する恐竜に似た架空のいきもの。鉄太さんと次男の光哉さんと多摩丘陵を歩くうちに生まれた作品だといい、作中にも「てつたくん」「みつやくん」が登場する。とても愛着のある作品だということから、「へなそうるのへや」と名付られた。
現在オーストラリアのメルボルンに暮らす鉄太さんは、創作と翻訳のかたわら
、「メルボルン子ども文庫」を主宰しており、同文庫と多摩市立図書館をつなぐ意図も込められた。なお、こどもの読書週間(4月23日から5月12日)の期間中、市立図書館の各館でも、渡辺茂男さんの著書等を集めて企画展示を行っている。
多摩市立図書館の図書館長、小林弘宣さんは、「多摩市にゆかりある渡辺茂男さんの著書、創作に使われた貴重な品々を寄贈していただけて本当にありがたい。鉄太さんは仕事の関係で秋頃日本に滞在すると聞いているので、そのタイミングで何かイベントを企画したい」と話していた。
コーナーが設置された部屋の入口では、多摩市在住で布絵本などの創作活動を行う寄神光代さんが作った「やんばと」と、おさるのジョージのぬいぐるみが案内役を務める。
部屋の正面中央には、茂男さんの仕事場が再現されている。机の右手には、メモ書きや外国作家からの手紙などをピン留めしたコルクボードも。
『もりのへなそうる』と一緒に、茂男さんが鉄太さんや光哉さんら家族とくつろぐ様子を収めた写真も。『てつたくんのじどうしゃ』『みつやくんのマークX』など、息子たちが主人公になった作品も並ぶ。
モーリス・センダック、イアン・フレミングなど欧米の著名作家による文学の翻訳も数多く手がけた。
渡辺茂男の仕事
おはなしの森 渡辺鉄太
へなそうるのへや〜メルボルンこども文庫からのおくりもの(多摩市立図書館)
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