多摩の丘陵に秋風が吹くころ、街をゆっくりと這うように走っていたミニバスたちが、次々と姿を減らしていきそうだ。運転手がいないのだ。
ハンドルを握る人の影が薄れていくにつれ、あの独特のエンジン音も、坂を登るときのわずかなうなりも、町の風景から少しずつ消えつつある。
ニュースでは「路線バスの苦境」と語られていた。シルバーパスの乗客が通常運賃を払っても赤字、という冷たい数字が並ぶ。多摩市は年に六千万円を投じ、それでもなお、走らせ続けるのがやっとだという。
だが、これは単なるお金の問題ではない。ハンドルを握る人の不在こそが、いまこの街の最大の空白なのだ。
一方で、未来の気配もある。万博でも新しい技術はどんどん披露され、多摩でも過去には自動運転の実証実験、スマホひとつで呼び出せるオンデマンド交通も試した。
無人のバスが静かに坂を登る様は、どこか不思議で、少しだけ寂しい。
それでも人々は試みを続けている。
この街に流れる時間を止めないために。
2026年4月からミニバス再編します！～多摩市交通マスタープランのオープンハウスを3駅周辺で開催～
市では、公共交通（路線バス・多摩市ミニバス・一般タクシーなど）の利便性および持続可能性の向上に向けて「次期多摩市交通マスタープラン」の策定を進めています。
これまでの意見交換会や市民アンケート結果などを反映した、市の交通の今後の考え方やミニバス再編の方向性などをお伝えいたします。
ご家族、ご友人でお誘いあわせのうえ、お気軽にお立ち寄りください。
(【終了しました】ミニバス再編！～多摩市交通マスタープランのオープンハウスを開催します～｜多摩市公式ホームページ)
