
多摩センターの街角に、小さな風のざわめきが立つ。
長年掲げられてきた「見つけるよろこび、手に取るうれしさ」の旗印が、そっと色を変えようとしているからだ。
1975年、府中に最初の灯をともした啓文堂書店。
1981年には多摩センターにも店を開き、駅へと続く人の流れに寄り添いながら、静かな知の森を育んできた。
立ち寄るたび、棚の奥で思いがけない一冊が待ち構えているような、あの不思議な気配。
多摩ニュータウンの時間の層に、確かにその存在はしみ込んでいる。
しかし2025年6月30日、紀伊國屋書店が全株式を取得し、店は新しい名をまとって歩み出す。
看板が変わるその瞬間、書棚の影からそっと物語が移り替わるような、目に見えない気流が生まれるのだろう。
啓文堂の面影を残しつつ、新しい風もまた吹き込む本屋。
その変わりゆく姿を確かめたくて、多摩センターまで歩いてみたくなる。

半世紀の歴史を持つ京王書籍販売は、「啓文堂書店」として京王線沿線の駅を中心に多店舗展開してまいりました。今後は当社グループの一員として、紀伊國屋書店の持つ経営資源やサービス基盤を活かすことで、顧客への新たな価値のご提供、良質な作品との出会いの場を創出し地域の文化的発展に貢献してまいります。
尚、新商号は「紀伊國屋書籍販売株式会社」、新屋号につきましては店舗の改装後「紀伊國屋書店」として、順次変更を予定しております。🔳会社概要
所在地 :東京都多摩市豊ヶ丘1丁目22番地
事業内容:書籍・雑誌・文具等の販売
店舗数 :20店舗
府中本店、渋谷店、多摩センター店、三鷹店、吉祥寺店、荻窪店、仙川店、鶴川店、高尾店、高幡店、稲田堤店、永福町店、小田急相模原店、橋本駅店、狛江店、久我山店、つつじヶ丘店、下高井戸店、八幡山店、桜上水店
取次 :日本出版販売株式会社
(株式会社紀伊國屋書店、京王書籍販売株式会社の全株式を取得し完全子会社化 | 株式会社 紀伊國屋書店)







