TAMA NEW TOWN ARCHIVE
庭園都市・松が谷

松が谷を歩くと、近隣公園がひしめいている。公園を抜けて少し進めば、また公園。街の中に緑の余白が点々と置かれているというより、こちらが公園の合間を歩かせてもらっているような気分になる。
なかでも大塚西公園と東中野公園は、自然を生かした憩いの場所だ。四阿があり、池があり、大きな岩がある。設備を順に並べただけにも見えるが、この岩が妙に頼もしい。遊具のように目的を示さず、看板のように何かを知らせるでもない。ただ黙って腰を据え、庭園の景色を引き締めている。人間なら、相当に寡黙な古参だ。
池は景色に小さな奥行きをつくり、四阿は歩く速度をそっと緩める。そこへ大きな岩が加わると、いつもの街歩きが庭園を巡る小さな探検に変わる。特別な事件が起きるわけではない。それでも池の向こうや岩の脇が気になり、もう数歩だけ進んでみたくなる。岩ひとつに進路を決められるのも、散歩の面白さだろう。
近隣公園が重なり合うように存在する松が谷では、庭園の趣が日常のすぐそばにある。四阿も池も岩も、声高に街を飾らない。静かに配置され、訪れた人の憩いの時間を受け止めている。「庭園都市」という言葉は、こうした風景をひとつずつ歩いた先で、じわりと実感するものなのかもしれない。









