多摩市立永山公民館は3月9日、ベルブホールで現代課題講座「あなたは、どこで“終末”をむかえますか?」を主催した。今回の講座では、多摩市が今後抱えるであろう課題について3名の講師を招き、それぞれの立場から問題提起をして、終末への備えについて考えていくことを目指した。[取材と文・川崎正樹、編集・高森郁哉]
川崎歯科医院(諏訪1-5-9)の川崎和三院長は、超高齢化社会を迎えるにあたり、元気で楽しい生活を送るために口腔を清潔にしておくことの必要性を訴えた。とくに高齢者は手入れが大事で、口の中を大切にして、はじめて栄養を摂取できる。「一生食べられる口腔を支援していくことが、命を守ることにつながる」と語った。
からきだ駅前クリニック(唐木田1-1-7)の関原正院長は、東京都平均の2倍にも上るという2025年の多摩市における65歳以上の人口と単独世帯数の予想データを提示。一人になっても元気に過ごせる“住まい”が一番の問題だと提起し、住み慣れた街で安心して自分らしく暮らせる“Aging in Place”を実現するための地域包括ケアシステム導入を訴えた。「誰でも年は平等にとる。ではどうやって年をとっていくか。健康に生きることが良い終末を迎えること」と語った。
首都大学東京大学院の星旦二教授は、生きがいと健康寿命、それに社会経済要因との因果構造を研究課題に、長年にわたり地方自治体と共同で追跡調査を行ってきた。その膨大なデータをもとに導き出した法則を自著とともに紹介、ユーモアたっぷりの口調で会場を沸かせながら講義を進めた。また「健幸長寿をめざすために個々人の主体性を発揮し、望ましい終末を迎えるための学習を継続したい。今はまだ問題提起の段階だ」とのねらいも述べた。
最後は質問形式による講師と参加者とのディスカッションが行われた。市民の熱い生の声が寄せられたことで、終了予定時刻を30分過ぎたところで閉会となった。
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