パルテノン多摩で3月19日、トークセッション「〜ポジティブ多摩!第2ステージへ〜市長と語る多摩の未来」が開催され、多摩市の阿部裕行市長がニュータウン再生、緑豊かな環境の維持管理、子育てなどについて思いを語った。ゲストとして、東京都市大学環境情報学部教授で、造園家、TBS「サンデーモーニング」のコメンテーターとしても知られる涌井史郎氏が対談を行った。[取材と文・川崎正樹、編集・高森郁哉]
序盤の来賓挨拶では、調布市の長友貴樹市長、府中市の高野律雄市長、日野市の大坪冬彦市長が登壇し、稲城市と狛江市を含めた多摩川を囲む近隣自治体で「多摩川サミット」と通称される交流を行っていることなどを紹介した。
涌井氏は、20代の頃からニュータウンの開発計画に携わり、2012年からは多摩市みどりのあり方懇談会で会長を務める。ニュータウンがどう再生されるか、これを日本全体ひいては東アジア全体の問題であるととらえているという。市民の共有財産としての公園をどう変えていくか、市民も自ら検討し取り組む必要がある。「愛でる緑から、関わる緑へ」の実践により自然の生態系と人間社会の調和が保たれ、未来につながることを示唆した。涌井氏はまた、個人的な再生ビジョンとして、「多摩ニュータウンは都市でも田園でもない中間型の地域。豊かさを追い求めるのではなく、豊かさを深める地域という明白なコンセプトを出した再生が必要」などと述べた。
市民から市長へのメッセージとして、医師会長、商工会議所会頭、商店会長らが登壇し、女性センター運営委員が「良い意味でのリーダーシップを発揮してほしい」と話すなど、それぞれの立場から思いを語った。
最後に、キーワードとして「地域コミュニティの幸福感」を挙げた阿部市長は、幸福感をいかに創造していくかについて、「最大の資源は“人”。人と人とのネットワークを大事に、地域の人たちを最大限に生かしたまちを作りたい。子供たちが将来、希望を持って暮らせる健康で幸せな多摩市を市民とともに作りあげていく」と語っていた。
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