多摩の愛宕・和田地区を巡回するミニバス(コミュニティーバス)の実現に向けて住民主導で活動している「ミニバスを走らせる会」(竹内東朗会長) 。6月の市議会で補正予算が承認されれば今秋に試験運行開始、というところまでこぎつけたが、これまでの住民たちの反応を見る限り、将来も安泰とはいえない。4月24日、午前中は愛宕かえで館にて評議員会が開かれ、「どうしたら大勢に利用してもらい、黒字路線にできるか」という課題を中心に議論が交わされた。
秋からの試験運行でシルバーパスが使えないことは、評議員たちにとって大きな懸念になっている。いざミニバスが走り出したところで、赤字続きで黒字化の目処がまったくたたないようでは存続が危うい。デザインとITの支援で毎回オブザーバー参加している東京都市大学の環境情報学部・小池情報デザイン研究室に協力してもらい、永山駅周辺の商業施設や医療施設などを盛り込む「イラストマップ」を作って配布し、乗車率向上を促すという計画については、この日の午後にフィールドワークを行うことが確認された。
ほかにも、利用者の乗り降りをカウントする「調査員」に高齢者や体の不自由な人の乗降をサポートしてもらう、会の活動報告やお店の情報を掲載する「みにばすニュース」を発行してメールマガジンも検討する、路線沿線の商店街でフリーマーケットなどのイベントを企画し駅から愛宕・和田地区への人の流れを作る、といった提案が出された。
小池ゼミの中には、今日初めて永山駅周辺を歩いたという学生もいたが、多摩センターなどに比べて狭い範囲に各種の商店や医院、公共施設やカルチャースクールなどが集約されていて、高齢者や障がい者にも利用しやすい地域であることを確認できたと話していた。住民に本当に関心を持ってもらえるマップを作ることは決してやさしい作業ではないが、評議員たちと学生たちの連携によって有用な情報が集まり、ミニバス運行に貢献できることを大いに期待したい。(高森郁哉)